人つなげ屋さんの思考法今回はクリティカルシンキング
人つなげ屋さんシリーズ第2弾。今回は対人関係などに活用できる思考法について
第一弾は「人つなげ屋さんの人脈論」
こちらは人つなげ屋さんをしている上條が経験した人脈、人間関係論をお届けするシリーズです。
そして
第二弾は「人つなげ屋さんの思考法」
ということで実際に人間関係などに役立つ思考法をお送りしていきます。
今回のテーマは「クリティカルシンキング」という思考法です。
まずは「クリティカルシンキング」というものの考え方から紹介していきます。
人つなげ屋さん的クリティカル・シンキングとは
Critical Thinking(略してCT) 批判的思考
--出来事や人の発言をそのまま額面どおりに受け取らず,自分の頭で,しかも,ロジカルに考えること--
大切なのは
・物事をそのまま受け取らない
・自分で考えてみる
・それも感情的ではなく様々な側面を想定して考える
最近は教育の現場でも活用されておりZ会では中学1年生からの「クリティカルシンキング講座」も開設されています。
クリティカルシンキングでこうかわる
クリティカルシンキングを行うとこういう良さがあります。
■クリティカルシンキングの良さ ・騙されにくくなる ・相手を100か0で否定肯定しなくなる ・自分の視野が広がる ・人を説得しやすくなる ・自分の思考が明確化される ・物事を今までと違った見方ができる |
・2021年からの大学入試が現在の暗記タイプから思考タイプに切り替わること。
▶実際に暗記する、または一つの解を求める受験スタイルから、
様々な可能性を想起する想起、予測、判断タイプの入試にシフトします。
「この問題の答えは、どうしてそうなるのか?なぜその答えにたどり着いたのかが問われるようになる」
・情報過多、情報飽和時代をうまくいきるために
▶先日のWELQの一件もそうですが、ネットに溢れる情報は正誤生が不確か。
例え検索一位にあがっていても、素人が書いた文章かもしれませんし、大手メディアが外注(ランサーズなど)で委託して
監修もせず公開している情報だという可能性も大きいですね。
そこで、実際にこの情報は果たして正しいのだろうか?
それとも一つの考え方ではあるが、絶対的なものではないのか?と疑うこと。
この意識がないと、メディアや権力を持つものの誘導に乗せられて不本意な選択をしなくてはならなくなります。
「ネットやTVニュースの思惑はなんだろう?と考えられる力」
・メディア・リテラシー
▶メディア・リテラシーとは情報が流通する媒体(メディア)を使いこなす能力。
メディアの特性や利用方法を理解し、適切な手段で自分の考えを他者に伝達し、
あるいは、メディアを流れる情報を取捨選択して活用する能力のこと。
正しい情報を自分で選び、またその情報を正しく伝える。
結局SNSが盛んとなると、間違った情報が飛び交い、先日も米国の歌姫ブリトニー・スピアーズが事故死したとの
デマ情報がTwitterで飛び交いましたよね。
・異文化理解
▶異文化理解も「間違った色眼鏡」で見る場合が多いのですが、
異文化理解を深めるためにも「自分で考え」「情報に踊らされない」思考が必要です。
例えばアフガニスタンや中東に対して良くないイメージを持ってしまう人が多いかもしれませんが、
実際に現地の方と話たら非常に愛情深い国民性であった。
米国の映画が日本でも多く上映されているが、映画を通じて製作者が届けたい真意を考えてみると
映画の見方が変わった。
など。
自国のことでさえ、穿った見方をしてしまう事が多い現在、
自国以外は文化や風習、または常識、様々なものが異なります。
・環境教育
▶環境教育においても「クリティカルシンキング」は非常に大切。
なぜなら、環境教育において解は一ではないからです。
また一つの環境問題が問題提起される際は、
それは100%完全な黒、絶対悪ではなかったりします。
完璧な悪ではなく、必要悪かもしれませんし、またグレイゾーンである領域の問題に対しては
頭ごなしに否定する、代案なき拒絶は解決にはなりません。
・福祉
▶そして福祉。
福祉については、高齢化の一途をたどる日本では目をそらせない問題。
こちらも長寿国日本として高齢者福祉、世間的弱者の福祉というものを
額面通りに受け止めるのではなく(他人毎でふーんと聞き流すのではなく)
当事者意識を持って、自身が対面する問題であった場合はどうしたらいいのだろうか?
という観点から取り組まなくてはならないですね。
・総合的な学習
▶最後に総合的な学習におけるクリティカルシンキング
これは受験システムが大きく変動するだけではなく、
暮らしの多様化、正社員の現象、ノマドワーカーの増加など
文明が加速していくと同時に物事は多様化していきます。
今までは、白か黒で識別できたことに
「赤」「青」「緑」など他の色が混ざってきた現在。
受験も特に公立中高一貫校の受験などでは、
国語と社会が混ざった出題方式や
算数と理科を複合した問題という形で問われることが多くなってきました。
これからの時代は、何事も総合的な視点で解を出さねばならない時代、
まさに総合力が問われる、トータル時代が到来しているのです。
クリティカルという言葉の語源と意味
次にクリティカルシンキングの語源と意味を抑えていきましょう。
そもそも間違った捉え方をしている人が多いのですが、
クリティカル=批判
シンキング=思考
▶何事も批判的に捉える思考???
これはまちがっています。
正しくは、クリティカルシンキングとは、物事に潜む様々な側面に対する問題提起や解決法を
自身の思考でロジカルにかんがえていくものです。
ただ否定してもこれは解決にはなりませんかrね。
語源1:クリティコス(ギリシャ語:分ける,決める)
語源2:クリティカル
(1)批評,批判
(2)揚げ足取り,ケチ付け(ネガティブな意味での批判)
(3)重大な,決定的な
(4)臨界の
語源3:クライテリオン--診断,分類の基準
・狭い意味でのクリティカル・シンキング--論理的な思考
・広い意味でのCT--合理的,生産的,バランスの取れた考え方(創造的思考の要素を含む)
▶もっと合理的、精算的に自由な発想をすること、これがクリティカルシンキング
決して「揚げ足取り」で終わる思考法ではないのです。
クリティカル・シンキングを行う3要素
・知識:まずは知識を自ら得ること、自身で調べること、違う主張とその論拠もしること
・技術:伝える技術(リテラシー)・調べる技術・考える技術(ロジカル)
・態度:どちらかにかたよらない態度、また何かの主張に依存しない態度が必要です。
また対話する相手を認めるというリスペクトの態度も必須です。
クリティカルシンキングの考え方
クリティカルシンキングの考え方です。
1.まずは疑問を持つ
▶まずは疑問を持つことがスタート。
メディア、権力者、信頼がおける人物などが発する内容に対して「?」をもつことが始まりです。
物事に絶対はないのと同じく、発言も絶対ではない。
その発言はその発言者の立場によって変わってきます。
何に帰属しているかによって発言の内容は変わる=それは正義ではない。
2.問題を定義する
▶次に問題定義。
一体何が問題なのだろう?
この出来事が抱える問題は何だろうか?
3.証拠を検討する
▶これは伝え方のテクニックとなりますが、実際に
人の主張の論拠はなんだろう?
自分が主張したい事のヨリドコロはなんだろう?
常に情報には「確かな証拠」というものがどこにあるのか
考えることですね。
4.バイアスと仮定を分析する
▶バイアスとは「かたより」です。
情報には偏りがあります。
自分が支持したい勢力、コミュニティ、人物の考え方が反映されます。
つまりはどの情報もニュートラルではない。
必ず何かにかたよっている。
ということは、一方的に妄信的に誰かの主張を信じることは
その背後にあるものを盲信することにつながりかねません。
5.感情的な推論を避ける
▶好きか嫌いか
今の気分はどうなのか?
根拠のない感情論はクリティカルシンキングにはなりません。
基本的に感情的な人物は「自信が低い」「妄信的」「疑問を持たない」
のいずれか。
好き嫌いで判断できるのは保育園まででしょう。
成熟した大人になるにはいつまでも感情論を相手にぶつけていてはいけないのです。
6.過度に単純化しない
▶物事を「単純化」しすぎると
結局「イエス」か「ノー」か
100か0かになります。
しかし、物事、ココまでの内容をまとめると
・主張は何かしら偏っている
・根拠のない自分の好みだけで論じている
・対話者とのパワーバランスで決が取られる。
これではいけません。
仮に社長の指示であっても、それは100%承服しかねないということも多々あります。
また生理的に大嫌いな人物が言う主張であっても100%否定はできません。
この主張や情報の中で
「賛成できる数%」と
「反対できる数%」が内在しているのです。
7.他の解釈も検討する
▶一個人の意見は絶対ではなく、情報は常に発信者によって偏っている。
ということは「解」は一つではなく、様々な解釈が可能です。
簡単にシンプルになんていうのは都合のいいご都合主義でしかなく、
突き詰めて考えない人間の思考の放棄となります。
8.不確かさに耐える
▶最後に「情報には不確かさがある」
この事をきちんと意識しなくてはなりません。
誰が伝える情報でも
それがTVのニュースであっても
それは100%の真実ではない。
不確かさが残ります。
しかし、問題、情報、主張に100%の論拠と完全回答を求めることをゴールとするのは
いささかナンセンス!
だって、人間は神でもなければ、似たような出来事であっても
その中身はケースバイケースで異なってきます。
完璧を目指すのではなくて、
自分で考えた上での納得行く解を導き出すのがクリティカルシンキングとなります。
クリティカル・シンカーの思考の7つの特徴
クリティカルシンカー(批判的思考ができる人)の特徴。
1.柔軟,多面的な視点で考える
▶まずは柔軟に考えること。
柔軟性です。
反対意見があっても、その意見の中にあるヒントに気がつけること
これ大切ですね。
自分の主張がA。相手がBだとしたら
大概、自身の主張Aが絶対。
Bは間違いというジャッジを人間はしてしまいます。
ここで深呼吸をして考えてほしいのは
「あなたの主張は完璧ですか?」
完璧な主張などありません。
という謙虚な姿勢があれば、一方的に自分の考えを押し通すこともしないでしょうし、
また相手の意見を受け止めることもできるでしょう。
2.人間のバイアスや仮定を認識している
▶バイアス=偏り
様々なケースを想定すること
リスクヘッジすること
その場の雰囲気に流されないこと
ここらへん、非常に大切です。
人間は偏ってます。
自分も偏っているし、
相手も偏っている。
そこに自覚を持たないと、
ついつい自分の主張が常に正しいと錯覚してしまうんですよね。
また「仮定」をしてみることも大切。
・自分の考えはこうだけど、もしもこういう事が起こったらどうするのだろう?
・今日は通常だったけど、明日イレギュラーな出来事が起きるかもしれない。
・今年通よしても、来年は通用しないのかもしれない。
こういう「仮定」をしてみることはクリティカルシンキングをする上で大切です。
3.懐疑主義的な態度を保つ
▶自分が所属している会社・団体・コミュニティ・信頼している人物・自分の方針
これらに対して
「果たして、本当に正しいのだろうか?」
「より良い考え方はないだろうか?」
そんな思考も大切。
大切な人の意見は疑いたくない、信じたい。
なんてドラマでよくあるセリフ。
「ばかですか?無責任です。それは思考の放棄!」
本当に大切なら疑ってみる。
あいまいに全幅の信頼を軽々しくおかない。
実際に、否定的になれっていうんじゃないですが、
きちんと自分の頭で考えてみる個T、これ非常に大切ですね。
4.事実と意見を区別する
▶事実と意見。
「事実」:確証があるもの
「意見」:こうしたらいいなという希望
特に事実よりも意見が上回ってしまうことがあります。
それは発言者と聴衆のパワー関係で決まること
また雰囲気でそうなることも多々ありますね。
5.過度な単純化はしない
▶ここでも大切なのは過度に単純化しないこと
ものごとを分散させて一つ一つ見ていくことは必要ですが、
物事は
「こいつは悪、こいつは正義。」
みたいな単純明快なことは少ないのです。
6.論理的な推論過程を踏む
▶ロジカルにこれこれこういう理由と根拠と過程で
自分はこういう結論になりました、という流れが必要です。
実際にそれを自身で把握することが大切。
自分の結論:そこにたどり着くまでの思考の流れ
相手の結論:そこにたどり着くまでのしこうの流れ
相手に説明する時、
また自分の考えをまとめる時にはこうした道筋があると伝わりやすいでしょう。
7.根拠を吟味する
▶根拠自身が正しくないのかもしれない。
2017年には通用する根拠でも1600年には通じない根拠も沢山あります。
日本では通じない根拠でもアメリカでは通じる根拠もあります。
つまり、根拠自体が限定的。
本当に自分がヨリドコロとしている根拠は正しいのだろうか?
たまには疑ってみることも大切。
もしかしたら違う根拠が見つかるかもしれません。
クリティカルシンキングをするためには
最後にクリティカルシンキングを今後していくために必要なことです。
1.題材が必要(新聞、経済、ニュースなどで取り上げられている出来事、各教科,日常の問題,メディアの材料)
▶常日頃から、思考を育てていくには
今実際に起きている事柄が
本当に正しく伝えられているのか考える意識を持つことです。
例)SMAP引退
・果たして悪者はキムタクなのか?
・どうして解散してしまったのだろうか?
・文春などが書いているようにジャニーズ上層部の後継者争いのもつれなのか
・各メンバーは本当に仲が悪いのだろうか?
・メンバーが本当に伝えたかったメッセージってなんだろう?
という思考。
思考するための題材は腐るほど転がっています。
2.考えるための基礎知識が必要
▶これはかなり大切。
何か専門性の高いことがあらでなくても
思考するにはその基礎知識が必要です。
基礎知識なき思考はただの思いこみです。
確固たる根拠が見つかりません。
例)英国EU離脱問題
・なぜ英国はEUを離脱するんだろう?
・予備知識:英国の難民受け入れ数
・予備知識:EU内での格差
・予備知識:英国の失業率
・予備知識:スターリング・ポンドとユーロの違い
・予備知識;結局EU加盟のメリットとデメリットはなんだおる
こういう基礎知識を調べた上で「英国のEU離脱」問題について考えるのは有益ですが、
そういった基礎知識なしに思考しても浅い考えで終わってしまいます。
3.考えるための基礎的な型(思考法)が必要
▶また考え方もフレームワークを設けることが大切ですね。
出来事が起こる
・この出来事の良い面は:
・この出来事の悪い面は:
・この出来事の原因は:
・この出来事の解決法は:
・自分の意見の反対意見はどういうものだろう?
・反対意見の賛成できる面は:
・反対意見の賛成できない面は:
・反対意見の論拠は:
・反対意見の解決法は:
こういう項目をあげておいて、
そこに自分の想定を書き込んで言ってみる。
出来る限り多角的に、
できるかぎり偏らずに
4.人間の認識に関する知識が必要
▶人間の認識は曖昧です。
数日前の出来事でも曖昧です。
絶対ではありません。
また自分の脳内で美化したり、強調したり、昇華するので
記憶や過去の感情は曖昧です。
そこを前提に考えないと!
過去の感情に縛られすぎてしまうと
自分の思考も偏ります
5.練習と習慣化が必要(発問リスト等)---少なくとも最初は。
▶思考は一日にしてならず。
これは社長であっても、政治家であっても
一日で習得できません。
普段から習慣化すること。
問題提起の習慣化。
根拠を考える習慣化。
反対意見を想定する習慣化。
こういう思考の習慣化ができれば自身の行動も大きく変化します。
6.クリティカルシンキングの動機づけ,強化が必要
▶またなぜクリティカルシンキングをするのか?
この動機づけが大切です。
僕の場合は
・プロパガンダ、メディアに振り回されない思考を確立すること
・視野を拡大すること
・また相手を認めるため
ここが大きいですね。
実際にクリティカルシンキングを行うと、自分の反対意見の中にも正解を見いだせます。
つまりは相手を認められる、偏った思考に陥らないという良さがあります。
今後受験システムも様変わりしていきますが、
あなたも是非クリティカルシンキングを実践してみませんか?
ライター:上條
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